アジャイル開発現場におけるTips:デイリーPO

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はじめに

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中佐藤です。今回も私が考えたものではなく、お客様のチームの中で生まれたプラクティスです。

名付けて「デイリーPO」。(ほぼ)デイリーで、POからちょっとした業務知識を解説してもらう場を作るやり方です。

どんな場面で使えるか

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このチームのレトロスペクティブで、「最近あんまりPOさんと話せてない」「もっとPOさんと絡みたい」という意見が開発者から出てきました。
そのひとつの手段として、デイリースクラムの前に「デイリーPO」の時間を作り、10分程度で業務知識寄りの用語等を解説してもらうことにしました。
これによって開発者も業務に対する理解が進み、チーム内のコミュニケーションにも寄与しました。

どのように使うか

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  • 【前提】
    • POはデイリースクラムも含め、可能な限りチーム部屋に同席していた
    • 他の打合せ等でいないことも結構ある
    • 普段の振る舞いも含め、開発者とも気軽にやり取りできる関係性だった
    • 但しデキるPOにありがちな話で超多忙。まとまった説明の時間は取れない
    • 開発者にはパートナー多数。つまり業務知識がないメンバーもいる
  • いつ
    • (このチームでは)デイリースクラムの前に
  • どこで
    • デイリースクラムと同じ場で
  • 誰が
    • POが他のメンバーに対して説明
  • 何を
    • POの任意のテーマで
  • どのように
    • その場でホワイトボードを使って(資料は作らない)
  • どのくらい
    • 10分程度(デイリースクラムより長くならない程度)

この方法の大きなポイントは、とにかく「POの負担が増えないようにゆるっと続けられる」ことに尽きると思います。
ちゃんと資料作って、とか、改まった場で、とかではおそらく無理だったでしょう。
POからしてみれば、普段から同席しているデイリースクラムにちょっと時間を足して、自分の知っていることを話せばいい。テーマを事前に決める必要もなく、その場でその時点の開発状況から「このあたりを説明しておくといいかな」と思う点を取りあげればいい。資料はその場でホワイトボードに書くちょっとした箇条書きや簡単な図だけです。
POがデイリーの場にいなければスキップすればいいし、POがいても今日はちょっと余裕ない、と思えばスキップ可。逆にあるテーマが盛り上がって時間が長くなりそうなら、続きは明日!とやればいい。

そしてこれだけのことでありながら、開発者にはその分野の業務知識が得られる、結構喜ばれる場だったのです。パートナー開発者から見れば、このチームを離れた後でも同じ分野で役に立つ知識です。もちろん将来だけでなく、業務のことを知ることで今の開発に役立ちます。

さらにもう1点。実はこのチーム、このプラクティスをPOさんの個人名で呼んでいました。例えば「デイリー牟田 *1」のように。このおかげでぐっと親近感が増していたように思います。デイリーの場で、POご本人に向かって「今日のデイリームタどうします?」「今日はこのテーマでちょっと話そうかと」とか「あー今日はスキップで」とかいう会話がなされていました。

これを生み出すチームの凄さ

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このチームが本当にすごいなと思うのは、このプラクティスを誰に言われるでもなく、それが特別なことだとも思わず生み出し、継続したことです。
スクラムの「べき論」で言えば、POはずっと開発者と一緒にいなさい、質問されたらすぐ回答できるように、業務のことはもちろん時間をかけて伝えなさい、ということになるでしょう。でもそれは現実問題難しくて、POが超多忙な中でもできるだけチーム内にいるようにしてくれているのは、開発者もわかっている。ではどうすればいい? と考えた結果です。

一応言っておきますと、この過程にコーチとして同席していた私は関わっていません。
1週間程間を空けてある日出社してみるとデイリーのやり方が変わっていて、SMに訊くと「前回のレトロでこういう話が出まして」と教えてもらいました。
「もっとPOさんと話したい」「とはいえめっちゃ忙しそうなPOさんの負担を増やすのは」「あ、じゃあデイリースクラムの前にちょっと話してもらうのは? デイリーはPOさんがいること多いし」とPOに相談し、POもそれならとOKした、という経緯です。
理想は理想として、でも自分たちの状況なら何ができる? を考えたこのチームは本当に素晴らしいと思います。

みなさんのチームでは

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できればみなさんのチームもこういう自ら手法を生み出すチームを目指していただきたい、というのはあります。

ただ、このお話、実は思った以上にそもそもの前提が多いです。

  • POが「お客様」ではなく、自分の関与が重要と理解している
  • POが「御用聞き」ではなく、業務とプロジェクトの意義を理解している
  • パートナー含む開発者が気軽にPOに相談できる雰囲気がある

これらがないと、まずはそこからです。
POにチームに貢献したい気持ちはあるけど、何をすればいいか分からないという時の一手段として、デイリーPOを検討してみてください。

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